しずる

3分あれば3分の流れがあり、そこにいかに厚みをもたせるかというのもコンビの個性である。
たとえば、デートの漫才。

待ち合わせして、二人で歩いていって、動物園とかいって、動物が二三匹出てきて、夜暗くなって、そして、プレゼント渡して、それでさようなら。

これがよくあるコント漫才。特に誰のとか、モチーフがなくてもなんとなくこう書けてなんとなく伝わるのがコント漫才。それに対し、一点固執型の笑い飯。プレゼントの渡し方で3分持っていく。となると、こっちとしてはそのボケにフィーチャーして捉える。

コント漫才というのは大雑把に捉えられれば捉えられるほど、印象が薄くなる。上記の文も、

待ち合わせして、動物園とかいって、動物が二三匹出てきて、夜暗くなって、そして、プレゼント渡して、それでさようなら。

ここで、2人で歩いていくというくだりが抜けていてもなんか成立する。そこに数十秒かけたくだりがあっても消える。見終わったあとに簡略されて消耗されていく。結局何のネタやったっけって思い出そうとしても思い出せなくて、思い出すそんな気力もなくて忘れていく。

しずるは今回、村上がサンパチマイクに相方を取られたというネタを。これを基本軸にストーリーをスライドさせながら角度をかえてせめていく。笑い飯のように、状況がお膳立てされたところでいかにパンチの効いたボケを繰り出すかに焦点を当てるのではなく、ストーリー+ボケというそっちに流れていくんだという新鮮さが際だつ印象が強い。

そして、なにより村上は人格に入り込んでるだけでボケてないのが、おもしろい。