M-1グランプリ2007

M-1、やっとみれました。やはり、優勝が決まる瞬間というのはしびれるもんで、結果を知りつつも涙しそうになってしまいました。

最初に。やっぱり、結果知る前に見ないとダメですね。上位三組が面白かったとか、感想がさきにどうしてもあたまにはいっちゃって、あの流れだからこその笑い、感情もあるだろうし。だから、以下に書くものも本来のM-1の見え方とちょっと印象異なるかもしれません。
あと、敬称略です。



笑い飯。ロボットみたいな声が出ることに対して執着していくと思って期待してみていたら、どうやらそこじゃない。じゃ、違う角度はどんなことしてくれるのだろうと思ったら、そのネタがあまりしっくりこない。はやく、声を出すほうに執着してくれと心の中で願っていたらもうネタが終わっていました。もちろん、相方に迎合する姿も面白いですが、それよりも最初のテーマでいつものように漫才して欲しかった感じです。もし、あのネタのやりとりを行うならば、もうちょっと、期待させないような話題からスタートしてもよかった気がします。
あと、出順ですね。トップは酷です。


ポイズンガールバンド。ネタのときの阿部の顔が面白いですね。いい顔してるなぁ。
今回、吉田が毎度道を整えてからの阿部にボケさせていたのはなんか味を潰しちゃってる気がしました。


ザブングル。「もう後にはひけんやろう」とか、ラスト一分の流れすごくよかった。うそ、松尾のノートのくだりは長かった。ただ、ラスト「もう面倒くさいやろ」からもう20秒続けば面白いのになぁと思いました。しょうもないボケでもいいから、あれをオチにするにはもったいない。もうひと展開を望む感じでした。
ツッコミを評価されてましたが、正直ちょっとまだピンと来ません。うまく吸収したいです。


千鳥。密漁をとめたり、ワタミ行ったりする所のフレーズがまったくもってノーマルなのがもったいないですね。あそこは一つ勝負できるところだと思うんですがね。去年の敗者復活の前半部面白かった印象があります。また見返してみます。


トータルテンボス。一本目のネタ。一回目はなんともどうでもよく終わってしまったのですが、二回目ボケの話をしっかり聞いていこうと思ったら結構面白くなりました。漫才を無意識に見てるとき何を見てるかによって笑えるかどうかがだいぶ変わっちゃうんだといまさらながら実感しました。軸足をどこに置くかってことです。で、その軸足を客に意識させずにしっかり濃淡をつけてみやすく提示してるコンビはやはり面白いですね。アンタッチャブルとか。山崎の話聞いちゃいますからね。ひきこまれてしまうんです。その点、大村はまだこちらから歩み寄らないと聞けなかったです。

あと、非常にうまいなぁとおもったのは、トータルの藤田の特殊なツッコミのあとにすぐ入る大村のカバーです。 特殊ツッコミはウケなければただのゴミと化し、漫才全体のテンポを崩すマイナスなコブです。藤田のツッコミは特に異形なコブで持ち味でもあり、いい意味でぼっこぼっこです。面白いんですが、トータルがはじめて決勝に出たときの漫才のようにコブまみれすぎて何が何だかみたいな感じになる可能性も十分に秘めているということです。
で、またやっかいなのは、こういうツッコミはハマらないときはどうやってもハマらないことがある。施工主のバカだって、9割笑ってる人がいても1割は笑わないひとがでる。欲張りすぎだと。そう思われたとき、それを正す人というのが今まではいなかった。だから、余計な一言から失速し歯車がくるって落ちていくみたいな漫才がいろんなコンビで散見された。 しかし、今回のトータルテンボスはそこをなるべく損しないようなもっていき方をつくった。藤田が言った後にすぐにボケが間を詰めてフォローしていくということでハマらなかったことをなかったことにする。傷を浅くして次に進めるように持っていっている。しょうもないボケをツッコミの間を詰めることにして、損はしない程度に収めることなど常套手段なのにそれのボケツッコミをひっくり返すことは今までやってこなかった。新鮮でした。


なんだか、傷とか損とかまるで藤田ツッコミ=マイナスみたいな感じの印象で文面が流れていますが、あくまで可能性の話です。なるべく取りこぼさずに4分流れるための手段という意味で書かせていただきました。


キングコング。何度も見返してみてわからなくなってきてしまったのですが、一番最初に見たときは具体的に見える二人の勢いやスピードに加えて、目に見えないようなスピード感は見ていて面白かったです。目に見えるスピードと、それのうしろにあるスピード。スピードの重層化。そんな感じです。意味わかんないですね。

前者は可視化できて、他のコンビでも観られることなんですが、後者のスピードはたぶん今2007年の漫才師のなかではキングコングしか特技として出せないスピードでした。スピードをオプションじゃなく本流で使っていってる気がします。

予選決勝両方とも見たことあるネタでした。だからこそそんな変なところに目が行ってしまったのだと思います。初見のとき(三年位前)はやはりおもしろかったですね。笑った気がしますし、なんか参考にしようと思ってそれをたたき台に漫才を書こうかなとも思っていた気がします。 キングコングのネタは2度目見てもあまり面白くなくなってしまうきらいがあったのですが、今回は楽しめました。というより、漫才自体がおもしろかった。他のネタが観たいです。 あと、西野が梶原の頭を叩く形が綺麗ですね。うまい。


ハリセンボン。笑わせ方が苦笑ですからね、このコンビ。いやぁ、このコンビは春菜さんが突如として泣いたりしたりとか怒ったりとか、読めないんですよね。しかも、文脈上流れで出る感情のあと、もう一度念を押すようにクドくせまってくるとなんだかもう笑っちゃうみたいな感じになり、それを足がかりに場が沼地のように広がっていく。いやぁ特殊です。このコンビしかできないだろうなあれは。


ダイアン。最初のかわいいですねとか、おなすたべているところすみませんとかすごくおもしろいですけどね。ああいうのがずっと続いていけばおもしろかった。道中にポコッとおもしろいものがあってまた戻る。ポコッ、戻る。そんな感じでした。


サンドウィッチマン。「ちょっと何言ってるかわからないです。」このボケの一言がおもしろい。そのために4分やってるっていって過言ではない。言葉はつじつまであり、期待と裏切りをそこでみせていくのだがそれだけでは今の漫才は及第点レベルであり、そこに有機的なものを欲してしまう。それがボケの「ちょっと何言ってるかわからないです」で僕は満たされました。あれは台本では書けない絶妙のタイミングである。あの人面白いなぁ。


もろもろ、書いてみました。
いろいろ収穫はありましたが、語りが多くなる地点でそこまで面白くなかったのかなとおもってしまうのが正直なところです。
サンドウィッチマンがこれからどういう風にばけていくのかは見物です。そして、それがM-1の存続にも大いに関わることだと思います。期待してます。



言葉が足りないのでまた加筆訂正するかもしれません。
コメントいただけたら何かお返しできるかもしれません。


敗者復活をどこかで入手してちょろちょろ見ていきたいと思います。