冷脚

院試の日。英語がまったくできなくて、もう大学院なんていったって俺には関係ないや、なるようになれなんておもいながら傾斜のある階段を上っていたら、こけた。
右足を思い切りうった。話はおもしろくはないけど、足がきれいな女の子におもいきり見られた。その大学院には当然落ちて、その女の子は当然受かった。今も右足の感覚がおかしい。骨の中のコラーゲンがにじみ出てるはず。その女の子が今日、交差点でかばんを落とした。中身を必死にかき集めるも信号は点滅し彼女はあきらめてすたすたと歩く。思わず僕は声をかけたが、彼女は遠くの友達に手を振り、お弁当のおにぎりはホンダの軽自動車につぶされていた。ふと振り返ると、やはり彼女の足は美しかった。