キーボード

パソコンのキーボードの接触が悪いので、近くのショッピングモールに。
打ち心地、触り心地を確かめるため、棚の前でしゃがみこみ、自分のパスワードとかを試しにうってみる。何台かためし、気に入ったキーボードを前にいろいろアルファベットを打ってみる。

母から頼まれた買い物の途中、ちょっと寄り道して街の楽器屋さんに。店頭のディスプレイに顔を押し当て羨ましそうにサックスを眺めてる少年。なんであんなにきらきらしてるんだ。どんな音がするんだろう。興奮の吐息が窓ガラスを曇らせる。2年前ミラノのおじさんに連れられていった町外れの地下のパブ。子供がいたほうがいろんな人と話しやすいんだろうな。きっかけづくりで呼ばれてるなんてこっちもそんなことわかってる。早く終わらないかなぁ。世界各国のいろんなロゴのラベルを眺めながらぼんやり時が過ぎるのを待った。よくみるとするとこのパブは男の人ばっかだなぁ。日雇い終わりの中年にはこんな地下の一室でのひとときがつかの間の安らぎなんだろう。
さぁ、はじまるよ。
おじさんはグラスを置いて少しだけこちらを向いた。一気に電気が消え、ステージに一筋の光がさしこんだ。それからは僕は何も覚えてない。ただ、僕は耳の奥の部屋が一気に拡張したのと少しばかりお尻がいたい。それだけしか覚えてない。

あ、急がなきゃ。お母さんと約束してるんだ。少年はパンやらじゃがいもやらがたくさん入った大きな袋を胸に大通りにむかった。
僕だって大人になったらいっぱい働いてあのサックスを手に入れるのが夢なんだ。あのサックスは僕のもんだ。絶対誰にも渡さない。あれとおじさんがいれば、僕はまたあの感覚が思い出せる。





そんなことを考えていたら、後ろのゲームコーナーにいたガキに笑われた気がしたので、少年は事故死、そして、サックスはミラノのおじさんの特殊健康器具として使用ということで決着させました。

落合記念館ゲームバッファロー竹若さん参戦ですね!楽しみ!